人工妊娠中絶とは、「胎児が子宮外生活不能な時期に、人工的に妊娠を中断して胎児および付属物を子宮外に排出する。」ことを言います。この手術は「母体保護法」という法律で定められ、母体保護法指定医のみによって行うことが出来る手術です。
この法律は母体の健康を守ることが目的で、「妊娠の継続または分娩が母体の健康を著しく害するおそれがある。」ときに適用となります。
人工妊娠中絶による障害
母体の健康を守る目的で行われる中絶手術であっても、自然の妊娠経過を機械的操作で中絶させるので、以下のような障害を起こすこともあり危険を伴います。
十分に考えてから決断するようにしてください。
- 子宮口の損傷、子宮壁の穿孔、血管の断裂
- 子宮内感染症、卵管炎、骨盤腹膜炎
- 子宮内容物の残留
- 卵巣機能不全、ホルモン代謝異常
- 不妊症、習慣性流産
- 麻酔による障害
どうしても人工妊娠中絶を受けなければならないときは!
- 必ず母体保護法指定医のもとで手術を受ける
- 既往の病気、妊娠、特異体質(アレルギーなど)は必ず医師に告げる
- 出来るだけ妊娠10週までに手術を受ける
- 処方された薬は必ず内服する
- 帰宅後異常があった場合にはすぐ医師に連絡する
- 手術後5~7日は出来るだけ無理をしない
- 何度も中絶手術をうけている方はお断りする場合があります
当院での人工妊娠中絶(手術までの流れとその後)
当院では出来るだけ安全に手術を受けていただくために、吸引手術を行っています。
(中絶の手術方法には2つあります。ひとつは吸引といって、子宮内を陰圧にして内容物を吸い出してくる方法、もう一つは掻爬(そうは)といってキュレットというスプーンのようなもので子宮内を掻き出してくる方法です。吸引の方が安全と言われています。)
また、未産婦の方は子宮口を安全に広げるために、手術前日の夕方か、当日の朝にラミセルという子宮口を柔らかくする薬を挿入することにしております。
初診の前に!
診察当日
受付にて問診票をお渡ししますのでご記入ください。(保険証をお持ちの方は提出をお願いします。)正確な妊娠週数を出すために、超音波検査を行います。
手術の説明と、手術日を決めます。
術前検査(貧血、血液型、B型・C型肝炎、梅毒)のために採血をします。
手術当日心電図を取り、血圧を測ります。
血液中の酸素の濃度を測りながら、点滴のラインを確保します。異常がない場合には全身麻酔をかけていきます。痛みや意識はありません。
手術後は麻酔が覚めるまで、ベッドで3~4時間休んでいただきます。麻酔が覚めたところで、もう一度超音波で子宮内の状態を診察します。異常がなければそのまま帰宅できます。
術後の診察
5~7日後にもう一度診察をして異常がなければこれで終了です。